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人生のエンディング:10

終末医療:3 施設で望む形の最期

介護施設に入る高齢者の要介護度が重くなるなか、施設でのみとりのニーズも高まっています。自宅とも病院とも違う施設で迎える終末期について考えます。

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「好きな唱歌のテープをかけてくれたり、最後までお風呂に入れてくれたり。職員の方々は、大きな家族でした。にぎやか好きな母は幸せだったと思います」

福島市の女性(61)は、今年2月に95歳の母を市内のグループホームでみとった経験を語る。

母は06年5月に老人保健施設から入居。女性は働いていたため、日中、母を家で1人にできないと、近所に新設されたホームを選んだ。母はその後、入退院を繰り返し、07年秋ごろから食事の量が減ってきた。主治医は老衰と判断した。

11月に家族、ホーム、主治医で今後について話し合った。女性は母から「器具をつけて死ぬのは嫌」と聞いていたため、最後までホームで暮らすことを希望した。ホーム側は容体や家族の気持ちの変化に応じ、いつでも同じ経営の病院に入院できるなどと説明し、同意書を交わした。家族は毎日見舞いに訪れた。

08年2月半ばごろから食事がとれなくなった。次第に眠っている時間が長くなり、呼吸も減り、娘に寄り添われて旅立った。

1日1回の点滴とたんの吸引のほかには医療行為はなかった。主治医は2週に1度の定期往診のほか、発熱時と亡くなる前日、当日の計3回往診した。

「ホームで初めてのみとりだったため、勉強会を重ねました。ご家族の信頼と、ご本人の容体が安定していたことが幸いし、最後までお世話させていただくことができました」。看護師の宍戸幸子さんは言う。

こうした施設はまだ少数派だ。だが今後、高齢者の入院が多い療養病床が大幅に削減される中、介護施設でのみとりは増える見込みだ。介護保険でも06年度、特別養護老人ホームでのみとりに加算制度ができた。

課題は医療機関との連携だ。経管栄養や酸素吸入、たんの吸引は医療行為にあたり、医師か看護師でなければできない。

医療行為が頻繁に必要な人の場合、協力医療機関が近くになく、夜間に看護師が少ない施設では、退居を求められることもある。

費用も確認しておきたい。老健施設は介護費用に医療費が含まれるが、特養では実費を求められることも。民間医療保険の入院保障は基本的に病院が対象で、施設では使えない。

職員や家族、他の入居者など、本人を取りまく人間関係も大切だ。特に家族が長く本人と同居していなかった場合は、様々な局面での判断に悩むことが多い。

「生活の場のターミナルケア」などの共著がある静岡市の老健施設「鶴舞乃城」の高口光子・看介護部長は話す。「親を施設に入れることの抵抗感や、子が親の人生を決めなくてはならないという重みなど。親の老いに直面し、とまどっている家族の悩みを受け止め、決断していく過程に寄り添うのが介護施設の職員。家族は気軽に相談して欲しい」

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私の場合

往診専門の医師と看護師が心の支えに

4年前に99歳の祖母を私の両親と夫、3人の息子たちとともに自宅でみとりました。訪問看護師さんと往診専門の医師には大変お世話になりました。血圧が急に下がったり、台風で停電し酸素吸入の機械が使えなくなったりした時には駆けつけてくださり安心できました。最先端の技術や整った医療器具はなくても、介護者としてしっかりしなければならない家族が、穏やかな心でいられる医療だったと思います。当時中3だった次男はいま、看護師を目指して勉強中です。

(茨城県日立市 主婦 48歳)

夫の意思、代わりに伝えた

夫は悪性リンパ腫と告知され、数カ月後には一時昏睡(こんすい)状態になりましたが、奇跡的に意識を戻しました。外出許可を得て帰宅したとき、悩みましたが、今しかないと思い切って、「もしまた、あの時のようになったら、延命処置する?」と聞くと、即「しなくていい」と答えました。そして、その時が目前に迫った際、医師に伝えました。亡くなって今年で7年になりますが、今でも代わりに意思を伝えられてよかったと思っています。私も子どもたちに、終末期の意思を示しておこうと思います。

(神戸市 介護職員 43歳)

(更新日:2008年10月31日)

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