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わが家のお雑煮

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おいしいお雑煮を求めて

正月になると食べるものといえば、「お雑煮」。すまし汁に白みそ汁、丸もちに角もちなど種類は様々。今回は日本全国のおいしいお雑煮をどらく編集部が探し、作っていただきました。この正月、いつものお雑煮に加え、ほかの地域のお雑煮にトライしてみてはいかがですか?

餅つき   
佐々木さん一家では毎年12月28日か30日に餅つきをして年末年始に備えるという

お餅と「おひきな」をいれて

岩手県一関市に住む佐々木善子(やすこ)さんが作るお雑煮は、「おひきな雑煮」。自分たちでついた餅と、大根を千切りにして冷凍保存した「おひきな」を、すまし汁に入れたお雑煮だ。

佐々木さん一家の正月準備は、毎年12月28日か30日に行う餅つきから。29日は「苦餅(くもち)」との言い伝えが地域にあるため避け、大みそかまでにはついておくという。3升の糯米(もちごめ)をつき、のし餅にして年を越す。元日以降はこれを角形に切って、お雑煮に入れる。

一方、大根のおひきな。この地域では古くから、越冬のため、大根やゴボウを保存食とする習慣があった。そのため、この地域のお雑煮には、たいてい大根が入っていたという。「冷凍保存したおひきなは、切りたての大根よりもシャキシャキ感があっておいしいんですよ」と佐々木さん。ニンジンの千切りも加える。

お雑煮の味を決める汁は、鶏肉をゴボウのささがきとともに炒(いた)め、だしとともに煮込んだすまし汁。餅とおひきなを入れたおわんにすまし汁を注ぎ、かまぼこと三つ葉に海苔(のり)、そして「子を持って川を上る」意味から縁起魚とされるサケの子であるイクラを添えて出来上がり。すまし汁と三つ葉のにおいが、いきなり食欲をそそった。

冷凍保存した「おひきな」とお餅、三つ葉をいれ(上)、すまし汁を注いだのち、イクラとかまぼこをのせる(下)

お雑煮をいただく

出来上がったお雑煮をさっそくいただく。祝い膳にはお雑煮と、おひきなを使ったなますがのせられている。

まずはすまし汁から。鶏肉とゴボウを炒めものを一緒に煮ただけあって、鶏肉から出た脂とゴボウの風味にだし汁が合わさり、まろやかさが加わってコクもある。「だし汁だけだと単調な味だけれど、これだと何杯でもおかわりできますよ」と佐々木さん。

次にお餅。今回はつきたてのお餅を特別に用意してもらったこともあり、おいしさは格別。パックの角餅とは比べものにならない。やわらかいし、小ぶりに切ってくれたので、いくつも食べてしまいそうだ。

そして、おひきな。調理時に佐々木さんが言っていたとおり、冷凍保存したおひきなは、切り立ての大根よりシャキシャキ感が増して、お餅とは逆に、カリカリした歯ごたえ。お餅と交互に食べると、このお雑煮の味がいっそう印象深くなった。

はし休めになますをいただく。お餅が入っているお雑煮だけを食べるのは誰でもつらい。しかし、昔の人は素晴らしい食の取り合わせを考えたものだ。酢の味とおひきなのシャキシャキ感がマッチし、単に口がすっきりしてさらにお雑煮が食べられるようになるだけでなく、なますだけでもたくさん食べてしまえそうな味わいだ。「もっとお雑煮食べたくなったでしょう?」。佐々木さんの一言に、思わずおかわりをいただいてしまった。

おひきな雑煮
佐々木善子さん作「おひきな雑煮」。なます(右奥)とともに食べるといっそう食が進む

お餅に込めたはるかな思い

佐々木さんにとって、餅は人生の中で切っても切り離せない存在だ。

岩手県南部にある一関市は、もともと米どころとして江戸時代から独特の餅文化が発達した。お客さんが来たときには、餅を使ったごちそうでもてなした。冠婚葬祭などの行事では、地域の人々が集まって餅をつく風習が残っているという。

佐々木さんはこの食文化を残していこうと、1993年に地域の人々と「出前餅つき隊」を結成。県内の小中学校で餅つきを体験してもらうだけでなく、欧米に行って餅つきをしたこともあった。

しかしこれでは飽きたらず、実際の餅食を多くの人々に味わってもらおうと、築200年の自宅を有効利用した農家レストラン「夢みる老止(おとめ)の館」を2000年に開業。ゴボウや鶏肉を煮た辛みの「ふすべ餅」などの餅料理と、季節の山菜を採り入れた山菜料理を提供している。餅料理を食べながら夢を語り、老いを止めて元気になってもらいたい、という思いを込めて、老止を「おとめ」と読ませた。

佐々木善子(ささきやすこ)さん
佐々木善子(やすこ)さん

「この地域では、お正月だけではなく年中お餅を食べていますよ」。餅文化の継承と地域おこしのため、各地を出張するなど忙しい日々を過ごす佐々木さん。年末には4人の息子と孫が帰ってくる。同居する母親も加わり、計15人の大家族が、この冬一緒に新年を迎えるという。温かくておいしいおひきな雑煮を食べながら、どんな新年を語り合うのだろう。


(文と写真:どらく編集部 勝井善明)

(更新日:2007年12月21日)

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