
この秋、上野の国立科学博物館で「大ロボット博」が開催され、評判を呼んでいる。なにしろ、これからのものづくりの柱になる分野だけに、関心は高い。しかしロボットに関するかぎり、日本には欧米にない絶対的な有利さがある。それは、ロボットを機械とみなさないことだ。
欧米では、ロボットは魂をもたない「働く機械」であり、人間にとっては仕事を奪う脅威でもある。だから、ロボット打ちこわしのような敵意ある反応を示す。ところが日本は違う。ロボットは魂をもつ人形(ひとがた)なのだし、労働もしない。ちょっと異質で崇高な仲間なのだ。
たとえば、日本最古のロボットは、高陽親王が創(つく)った「田に水を流すからくり人形」だが、この人形がもつ桶(おけ)に水をいれると自分で田に水を流すので、人びとがおもしろがって水を運んだ。いわばエンターテイナーであった。中国でも陳平という匠が創った最初のロボットは、包囲した敵軍の前でなまめかしく踊る美人の舞踏人形だった。また、日本初の近代的ロボット「学天則」も、製作した西村真琴博士(水戸黄門役で有名な西村晃さんのおとうさん)のコンセプトで、微笑し、考え、文字を書くというコミュニケーションロボットとして造られた。
「大ロボット博」に展示された日本の最先端ロボットは、「人間」と同じ姿をした、人間協調型のロボットが多く、しかもこのイベントでは、機械だけでなく「鉄腕アトム」や「マジンガーZ」のような親しいキャラクターも同等に展示されている。おどろいたのは、「人間とロボットによる舞踏会」まで開催されたことだ。
ロボットと踊ったダンサーの方が、「崇高な気分でした」と感想をいわれたが、これぞ日本人の感性といえるだろう。ロボットと一緒に暮らす未来。それは日本人の感性がロボット文化として世界にひろまることだと思った。展覧会は1月27日まで開かれている。
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