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どらくスペシャル

ビートルズの目撃者
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編集長この一枚あの一枚

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ドクダンに充ち満ちた、おススメの3枚。
今宵、一杯かたむけながら、針を落としてみませんか…。
第2回は、「ウィズ・ザ・ビートルズ(with the beatles)」、「ヘルプ!(Help!)」、そして、ロック史上の金字塔に輝く「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND)」を。

■ウィズ・ザ・ビートルズ(with the beatles)
1963年11月22日発売

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この年3月に出たファーストアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー(PLEASE PLEASE ME)」が売れ続けたため、発売を待ったセカンドアルバム。まだ米国に本格的に進出する前で、英国では1週間で50万枚も売れ、20週以上連続で音楽チャートの1位に輝いた。ファーストアルバムが30週連続1位を獲得しており、なんと1年間もの間、ビートルズの4人は首位の座を守ったことになる。

地元リバプールのキャバーン・クラブなどで演奏してきたもちネタ曲も少なくなく、相変わらずゴキゲンな演奏を聴かせる。14曲中オリジナルは8曲で、他人の作ったカバー曲6曲をまるでブックエンドのように上手に挟みこみ、ビートルズの実像をドラマチックに的確に伝えている。

オープニングを飾るのは、ジョンがリードボーカルをとる「It Won't Be Long(イット・ウォント・ビー・ロング)」。シングル用の曲だったが完璧に仕上がらず、アルバムに収録された。だが、それが結果的に、このアルバムの全体像を描くことに役立った。ジョンがひとり歌い出した直後から演奏が入り、間髪を入れずバックコーラスが彩りを添えるスタイルに、新鮮さを感じる。

ファーストに続くこのアルバムが、幸か不幸か、彼らを史上最高のアイドルグループに仕立てる重要な要素のひとつになった。

「不幸」というのは、エルビス・プレスリーのようにアイドルになることを望んだものの、いざなってみると、私生活や音楽活動が制約を受けたり不自由になったりし、しまいには自分たちの音楽性を大きく育てたライブをやめていくことであり、「幸」というは、だからこそ、そうしたアイドルグループから抜け出すきっかけになり、ロックの頂点を極めるステップが確実に近づいたことだ。

なお、ローリングストーンズのメンバーの前で、ジョンとポールが即興で作って贈られたのが、「I Wanna Be Your Man(アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン)」。そのセンスと早さに驚いたミック・ジャガーやキース・リチャーズは、それから自分たちで曲を書くようになった。

アルバムINFO

【A面】
It Won't Be Long(イット・ウォント・ビー・ロング) All I've Got To Do(オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ) All My Loving(オール・マイ・ラヴィング) Don't Bother Me(ドント・バザー・ミー) Little Child(リトル・チャイルド) Till There Was You(ティル・ゼア・ウォズ・ユー) Please Mister Postman(プリーズ・ミスター・ポストマン)

【B面】
Roll Over Beethoven(ロール・オーバー・ベートーヴェン) Hold Me Tight(ホールド・ミー・タイト) You Really Got A Hold On Me(ユー・リアリー・ゴッタ・ホールド・オン・ミー) I Wanna Be Your Man(アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン)  (There's A) Devil In Her Heart(デヴィル・イン・ハー・ハート) Not A Second Time(ナット・ア・セカンド・タイム) Money (That's What I Want)(マネー)

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■ヘルプ!(HELP!)
1965年8月6日発売

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映画で使った曲をA面に、それ以外をB面にまとめるスタイルは、前年作の「ビートルズがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!(A HARD DAY'S NIGHT)」と同様だ。2作目の映画のタイトル曲「Help!(ヘルプ!)」や「Ticket To Ride(涙の乗車券)」など、だれもが知っている曲が多いアルバムのひとつだ。映画そのものはたわいもないものだけど。

そんな代表作のひとつが「ある朝ベッドから起きて…そのまま曲ができた」と、ポール本人が回想するバラードの名作「Yesterday(イエスタデイ)」だ。

プロデューサーのジョージ・マーチンが共同で弦楽四重奏をアレンジしているものの、ビートルズとしてははじめて、ひとりで録音した。本人たちの要望で英国ではシングルカットされず、遅れて席巻した米国でも、営業戦略なのか、映画で主役を演じたリンゴがとぼけたボーカルを披露するカントリー調の「Act Naturally(アクト・ナチュラリー)」のB面におさめられた。ところが、当然のようにこちらのほうがヒットし、米国で4週連続1位を記録した。

当時、「若者らしいロック・アンド・ロール」というのがバンドの売りになるキーワードで、リリシズムにあふれた「Yesterday(イエスタデイ)」はこれにそぐわないといえばそれまでだ。だが、きわめつけにメランコリーに仕上がった美しい詞とメロディー、ロックに弦楽四重奏を使うという当時としては考えもつかなかったアレンジを施すなど、ビートルズとしてはもっとも多くカバーされ、その高い評価はいまだに変わらない。

弦楽四重奏のアレンジはただ、しつこくはなく、それでいて耳に残る。主役はあくまでポールの歌とギターである。ライブや映画などで愛嬌をふりまくポールとは違った彼の深みを知ることができる1曲だ。力がはいったのだろうか、2番のサビの最後の「Yesterday」のところで、ビオラのメロディーラインをそのまま歌ってしまっている。

この曲をベタぼめしたジョンにも、代表する曲がある。ボブ・ディランに刺激されてつくった内省的なフォーク「You've Got To Hide Your Love Away(悲しみはぶっとばせ)」。ただ、自分自身にどれだけ語りかけ、昇華しているかという意味では、ボブの多くの代表曲よりもジョンのこの作品のほうが優れている。

アルバムINFO

【A面】
Help!(ヘルプ!) The Night Before(ザ・ナイト・ビフォア) You've Got To Hide Your Love Away(悲しみはぶっとばせ) I Need You(アイ・ニード・ユー) Another Girl(アナザー・ガール) You're Going To Lose That Girl(恋のアドバイス) Ticket To Ride(涙の乗車券)

【B面】
Act Naturally(アクト・ナチュラリー) It's Only Love(イッツ・オンリー・ラヴ) You Like Me Too Much(ユー・ライク・ミー・トゥ・マッチ) Tell Me What You See(テル・ミー・ホワット・ユー・シー) I've Just Seen A Face(夢の人) Yesterday(イエスタデイ) Dizzy Miss Lizzy(ディジー・ミス・リジー)

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■サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND )
1967年6月1日発売

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進化を続ける4人だったことはみんなが認めるが、どうして、デビューシングル「Love Me Do(ラブ・ミー・ドゥ)」(1962年10月5日発売)からわずか5年足らず、今回紹介したアルバムのひとつ「ヘルプ!(HELP!)」から2年後に、このような作品群ができるのかと、いつも不思議なのである。

ロック史上もっとも時間をかけ、一番ぜいたくにつくられたレコードといわれたが、英米の批評家の多くは、「プロモーションの勝利であって、ポップスとして重要なアルバムであるが、ビートルズの最高のアルバムではない」と断じている。

オーバーダビングを繰り返すという最新の録音技術を駆使し、ロックで彩られているにもかかわらず、このアルバムが、人を陶酔させるエネルギーに満ちあふれているロックミュージックを嫌うような、自意識で包み込まれているからだろう。前作の「リボルバー(REVOLVER)」、やその前の「ラバー・ソウル(RUBBER SOUL)」に比べると、聴き手に予想をつけさせないという驚きに乏しく、アルバムのメッセージ性も希薄という声が少なくない。

だが、他人の声は他人の声だ。「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)」から流れるように進む劇中劇に自らけりをつけ、現実に引き戻す「A Day In The Life(ア・デイ・イン・ザ・ライフ)」に感じる巧妙な心理を、たんなる架空楽団を舞台に再登場させるアンコール曲、茶番劇と蹴飛ばすことはできない。

ジョンとポールが互いにリードし、ボーカルをとり合うモンタージュ手法をもちいたこの曲は、きわどい現実と破れた夢がないまぜになっていく様を作り出すことに成功している。40人のオーケストラを使ったジェットコースターのような速いテンポをもった音の洪水。4人が3台のピアノに同時にたたきつけた不安定な揺れをともなう最後の和音。

ライブ活動をやめ、スタジオ活動のはじまりを告げるのが「ヘルプ!(HELP!)」だとすれば、模擬ライブといえるこのアルバムは、スタジオ活動の沸点であり、ソロ活動のはじまりを告げる鐘といえた。

なお、無音がしばらく続いた後の早口のおしゃべりはこの曲の一部(米国盤ではカット)だが、公式的には名前はなかった。「Hahaha, I never could see any other way,never could see any other way(これしか思いつかなかったんだ)」を繰り返していると思われる。

ちなみに、発売からおよそ1カ月後の6月25日、ビートルズは、衛星を使った全世界同時テレビ中継「アワー・ワールド(OUR WORLD)」で「ALL YOU NEED IS LOVE(愛こそはすべて)」を演奏した。

アルバムINFO

【A面】
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド) With A Little Help From My Friends(ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ) Lucy In The Sky With Diamonds(ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ) Getting Better(ゲッティング・ベター) Fixing A Hole(フィクシング・ア・ホール) She's Leaving Home(シーズ・リーヴィング・ホーム) Being For The Benefit Of Mr. Kite!(ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト)

【B面】
Within You Without You(ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー) When I'm Sixty-Four(ホエン・アイム・シックスティ・フォー) Lovely Rita(ラヴリー・リタ) Good Morning Good Morning(グッド・モーニング・グッド・モーニング) Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)(サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド〔リプライズ〕) A Day In The Life(ア・デイ・イン・ザ・ライフ)

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(注)ここで取り上げているのは、すべて英国版オリジナルアルバムです。
参考文献:「TELL ME WHY」(Tim Riley)、各ライナーノーツ

ビートルズを知るために

 ビートルズ公式サイト

 東芝EMI

プロフィール

小野 高道(おの・たかみち)

「どらく」編集長。1958年、東京生まれ。獅子座のB型。1984年、朝日新聞社に入社し、東京本社社会部、「be」副編集長などをへて、現職。じつはクラシックもジャズも、リズム&ブルースも、好き。ことばとは裏腹に「優柔不断」が信条?

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