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レスリング
レスリング
日本金メダル3つ レスリング軽量級で圧勝

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レスリング・フリースタイルで金メダルを獲得の左から吉田、渡辺(長)、上武の三選手と銅メダルの堀内選手=駒沢体育館で

オリンピック第5日の14日夜、レスリングの駒沢体育館。得意の軽量級で、まずフライ級の吉田義勝選手が韓国のチャン選手を判定にくだし、重量あげの三宅選手に続いて、この大会で日本2つ目の金メダルを獲得した。続いて、フェザー級の渡辺長武選手もソ連のホハシビリ選手を一方的に攻めたてて判定勝ちし、金メダル。さらに、バンタム級の上武洋次郎選手がトルコのアクバス選手を判定で破り、この日3つ目、通算日本4つ目の金メダルをにぎった。

はじめ吉田の試合。あと5秒でタイムアップ。鼻血を出し、鮮血にまみれて攻めつづけた吉田が、最後の気力をふりしぼるように、韓国のチャンの足元へ飛込んだ。もんどり打って倒れるチャン。フォール寸前、ゴング。勝った。吉田が泣いている。汗と涙と……。

つぎはフェザー級の決勝だ。吉田が「それ、つづいてくれ!」と見守る。ヒラリ。渡辺がすばやくホハシビリの背中にしがみついた。押えにかかる――ゴング。観衆がワッと立ち上がった。勝ったぞ。場内に、大きなうねりのようなものが揺れ動いた。マットサイドで、今度は、「アニマル」渡辺が何回も宙に舞った。

ウェルター級で5位に入賞した渡辺保夫選手が、同姓渡辺長武を肩車に乗せてガイセンだ。カメラマンから「日本一の笑顔を」との注文に、ニッコリ笑った。

「あと一つだ、たのむぞ!」の声を背に、上武はふるい立った。アクバス(トルコ)の左足に上武が、猛然と食いついた。すかさず赤いユニフォームの背中に濃紺のユニフォームがへばりついた。決定的なポイント。

勝ったのだ。勝利のあいさつ。何度も頭を下げた。泣きながら手をあげたまま、待構える日本チームの中に身をおどらせた。またも胴あげ。渡辺、吉田が胴あげに加わっている。


メーンポールに日の丸があがった。一度、二度、そして三度。君が代が場内に次々に響きわたった。つづいてまた日の丸。右側(3位)のポールだ。観客席のあちこちでハンカチが動いた。コブシが動いた。たくさんのひとたちが涙をふいていた。会場をゆるがす拍手は整然。

14日夜9時16分、駒沢体育館。ファンファーレが、レスリング・フリースタイルの表彰式開始をつげる。

まずフライ級吉田義勝選手が中央マットの表彰台に立つ。童顔を上向け胸をそらし、誇らしげ。満場の拍手が激しくなる。ブランデージIOC会長から金メダルを首へ。拍手と歓声。吉田選手が表彰台の上で観衆に手を振った。

金メダル2番手はバンタム級の上武洋次郎選手。表彰台真中の主人公が変った。今度は最初からニコニコ笑った。

三たび表彰台の主が代る。フェザー級の渡辺長武選手。うしろを向いてエンジのコンビの後援会の人にあいさつ。ここでも拍手。

金メダルの3選手がそれぞれ精いっぱいのあいさつを表彰台から送って喜びを分かちあった。

真中の、一番高いポールに、目にしみる日の丸が3本。こんなことがかつてあったろうか。

「世界の金メダルトリオ」の花々しい若武者ぶりに、館内全体が酔ったような異様な熱気にふくれ上がった。

胴上げ、胴上げ、さらに胴上げ。吉田が、上武が、渡辺が、さらに八田総監督の銀髪が、マットの上で何回も舞上がった。

(1964年10月15日)
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