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陸上競技
星条旗にソッポ こぶし振り上げる黒人選手 |
陸上男子200メートル決勝では、米国の黒人スミスとカーロスが1、3位をさらった。2人は表彰台にのぼった。米国国歌が演奏され、星条旗がするすると夜空にあがっていく。だが2人とも、これを仰ごうともせず、緑の芝生をキッとにらんだまま、スミスは右手を、カーロスは左手をゲンコツに握ると、まるで力こぶをためすような形で突き出した。
「これはわれわれ黒人の、団結のシンボルだ。世界は、アメリカは白人に握られている。われわれがこれに対抗する道は、ただ団結しかない。私はゲンコツでそれを示したのだ」。スミスはかねてから黒人の公民権獲得運動の先頭に立っていた。そしてオリンピック・ボイコットも積極的に動いた。
「白人はわれわれを人間として扱わない。まるで動物だ、馬だ。新聞記者諸君、全世界に伝えてくれたまえ。われわれ黒人も人間なのだ、と」。カーロスは首にかけた銅メダルをはずすと、そばに寄り添った黒人女性に手渡す。「彼の妻だ」というささやき。そして彼女はニッコリと、そのメダルを自分の首にかけた。
金と銅のメダルに輝いていた喜びがまださめないとき。この記者会見は異様で緊張と興奮につつまれた。そして、スミスはこの栄光を喜ぶより怒っているようにさえ見えた。





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