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1972年ミュンヘン大会


体操
体操

個人種目別でもメダルをごっそり獲得 塚原が「月面宙返り」を決める


写真
鉄棒で「月面宙返り」を決め、9.90の最高点をマークした塚原光男選手

体操男子の最終日では床運動、あん馬、つり輪、跳馬、平行棒、鉄棒の6種目を争った結果、日本はつり輪の中山、平行棒の加藤、鉄棒の塚原が、それぞれ金メダルを獲得した。特に得意の平行棒と鉄棒は、金、銀、銅を日本が独占した。また、五つの銀、四つの銅メダルも取り、日本男子体操のメダル数は、合計金5、銀5、銅6となった。

鉄棒で塚原が再び「ハーフ・イン・ハーフ」の大技を演じた。着地で左足がちょっとぐらついたものの、最初の2分の1ひねり、宙返りでの2分の1ひねり、そして前宙返りは寸分の狂いもなかった。9.90。鳴りやまぬ歓声と拍手。塚原は両手をあげ、声援にこたえる。

ハーフ・イン・ハーフはトランポリンの技の一つ。2回宙返りの間に2分の1ひねりが2回はいる。

昨年の冬、ひねりが不得意だった塚原は、トランポリンの選手がひねりをいとも簡単にやるのを見て「これでひねりを」と思った。部分的には出来上がっていても、実際にとおしてやるとなると「こわくて手が離せなかった」そうだ。鉄棒から手を離したとき、「体がふるえてとまらなかった」のも無理はない。完成まで一人黙々と体育館で練習する塚原の姿があった。

あれから1年8カ月余り。世界に例のないハーフ・イン・ハーフは、いまや外国選手の間で「ツカハラ・ザルト」とか「月面宙返り」と呼ばれ、ミュンヘンというヒノキ舞台で金メダルとなって実を結んだ。

(1972年9月1日)
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