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1976年モントリオール大会


体操
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「はじめから勝つと思ってました」 コマネチ個人総合優勝


写真
観客の声援にこたえるコマネチ。14歳のあどけなさが残る

154センチの小柄な「ルーマニアの妖精」コマネチが、女子体操個人総合優勝の表彰台にあがった。ニコニコはしていたが、まるでそうなるのが当然、というように、冷静な表情だった。ガンダー国際体操連盟会長が、コマネチの首に金メダルをかけ、ほおにキスをした。あどけない少年のような顔がニコッとくずれた。キム(ソ連)に続いて名前を呼ばれた前回ミュンヘンの女王、ツリシチェワが、壇を降りてコマネチにかけ寄り、祝福のキスを贈った。厳しい女の戦いの終幕は、金と銅が示すスターの交代だった。

このあどけない少女のどこにそんな力がひそんでいるのだろうか。わずか14歳のコマネチは、他のだれの演技も色あせさせてしまう魔力を持っていた。

最初の跳馬は9.85。だが、この高得点も観衆には当然どころか、物足りなく思われた。案の定、次の段違い平行棒ではキビキビとスピードのある演技を決めて10点満点。平均台も少しも危なげなく、通算5度目の10点満点。観衆は酔ったように手をたたき、声をはりあげた。

カルロ・ベラコーチにともなわれて、インタビューに現れたコマネチは「金」の感激もほとんど示さず、「はじめから勝つと思っていました。今夜は何も特別な夜ではないし、お祝いもしません」。かわいらしい声で記者団を驚かすせりふを次々とはいた。

オリンピックが終わったら、黒海へ夏休みに出かけるという彼女は、「兄弟が喜んでくれるわ」とニッコリ。普通の少女らしい表情に戻った。

(1976年7月21日)
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