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1984年ロサンゼルス大会


体操
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森末、初の完全V トカチェフ大胆に決まる


写真
体操男子種目別・鉄棒で金メダルを取った森末慎二(中央)。右は銀の童非(中国)、左は銅の具志堅幸司=1984年8月4日

体操競技の男子種目別鉄棒で、森末慎二が、男子では五輪史上初の満点演技を成し遂げ、金メダルを獲得した。76年モントリオール五輪でナディア・コマネチ(ルーマニア)が段違い平行棒で実現して以来で、五輪2人目。

歴史的な記録に成功した森末は、団体の規定、自由両演技とも10点。とくに自由では「80%」の確率という3回宙返り降りをピタリと決め、これで持ち点がパーフェクト。この日を迎えた。しかも最終種目の最終演技者。

フィナーレを飾る役回りになって硬くなるのが平均的日本人。しかし、コールと同時にトントンと段をかけ上って、鉄棒の演技台へ。無造作に鉄棒をつかむと片手車輪、片手車輪ひねりと連続のウルトラC。出場選手が1回で終えるトカチェフ(背面開脚飛び越し懸垂)も連続。マルケロフ(大開脚ひねり飛び越し)、大逆手車輪と大わざを繰り出し、約一万人の大観衆の手に汗を握らせ、ため息を誘った。

ただ一つ、技を軽くした。3回宙返り降りをやめて、2回宙返り。その作戦が当たって、着地はぴたり。歓声と拍手が鳴りやまず、場内の観衆は「テン(10)テン」の大コール。スコアボードに「10.00」が出ると、一斉に足を踏み鳴らし、米国流の祝福がしばし止まらなかった。

27歳。森末には優勝がない。岡山県関西高から日体大に進んだが、在学中は3度も足のけがに泣いた。日体大が団体優勝しても彼だけはカヤの外。

演歌が好きで、一番陽気な男なのに演技が終わって涙。優勝とのアナウンスでこらえきれずに右手で「グイ」としずくをぬぐった。

(1984年8月4日)
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