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1988年ソウル大会


1988年のニュース

千代の富士、大乃国に敗退 53連勝でストップ


写真
大乃国、千秋楽の一番で千代の富士を寄り倒しに破り、連勝記録を53で止める

千代の富士が、大きな体の大乃国に押され、崩れるように寄り倒される。「双葉山への挑戦」の夢がついえた瞬間、土俵の周りで、テレビの前で、ため息が漏れた。福岡市の福岡国際センターで行われていた大相撲九州場所の11月27日の千秋楽。小さな大横綱・千代の富士は、横綱同士の結びの一番でついに敗れ、戦後の連勝記録は「53」でストップした。が、優勝パレードでは「よくやった」と、戦後最強の横綱をたたえる声が飛んだ。

「千代の富士ィーッ」「大乃国ッ、がんばれッ」と横綱コールが飛ぶ中で、行司の軍配が返る。千代は、得意の左でまわしが取れず、土俵際へ。寄り倒されると、ため息と歓声が入り交じり、何枚もの座布団が空中を舞った。

すぐ記者会見が始まった。千代の富士は「負けたものはしょうがない」といいながらも、「53連勝といえば、やっぱり大変なもの。一番一番という気持ちでやってこられた」と大記録の感想をポツリ。「ファンは残念だと思っていますが」と聞くと、「自分の方がもっと残念。でも次の目標を持ってまだまだがんばりますよ」と、明日への闘志を見せた。


 綱の意地 千代の富士の連勝止めた大乃国 大相撲九州場所

「相撲全体の雰囲気が千代の富士関の連勝だけという感じになっていた。自分はその陰にすっぽりと隠れてしまっていた。横綱の自覚です」。千代の富士の連勝を止めた「もう1人」の横綱・大乃国はしばらく興奮さめやらぬ様子だった。支度部屋に戻り、腰を下ろすと、「フーッ」と大きな息をはいた。大乃国は横綱に昇進した昨年九州場所以来、一度も千代の富士に勝っていなかった。

「最高の立ち合いだった」という。「いつも相手に合わせてしまうから、力をためて立とうと思った」。いきなり左上手をがっちりつかみ、攻め続けた。「じっとしちゃいけない。攻めなきゃ左上手を取られる、そう思って前に前に出たのがよかった」。いつもは下向きで答えるインタビューも、この日は堂々と胸を張った。

大乃国にとっては苦しい1年だった。初場所では5敗目を喫してあとは休場。春場所では逆転優勝をしたものの「千代の富士休場のおかげ」という評価がついた。秋場所ではついに8勝7敗で、ようやく勝ち越すというみじめさ。今場所に入っても、中盤までに3敗して、優勝戦線から脱落。それだけに「連勝を止めたからといって手放しでは喜べない。成績が伴ってないからな」。今場所は11勝4敗で終わった。「これが優勝決定戦だったら」という言葉に実感がこもっていた。ともかく「もう1人の横綱」が暗い1年を吹き飛ばす意地を見せた納めの場所の千秋楽結びの一番だった。

二子山理事長ら相撲協会首脳は「この白星で大乃国は、大きな自信になっただろう。来年は千代の富士、大乃国の本当の対決が始まりそうだ」と、今後の大乃国に期待を寄せていた。

(1988年11月28日)
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