朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ホーム設定

Special Contents ひと

  • インタビュー
  • フロントランナー
  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

記事を印刷

どらくスペシャル

あのときの五輪
  • あのときの五輪トップへ
  • ソウル大会トップへ

1988年ソウル大会


1988年のニュース

姿消す「平凡パンチ」「ペントハウス」 男性誌低迷の背景


 かつての夢いまや選択肢のひとつ 「過激なヌード」やがて平凡に
 そして若者はモノ情報誌に向かう

若者向け週刊誌「WEEKLY平凡パンチ」(マガジンハウス)が、10月27日発売号をもって「休刊」となる。月刊誌「日本版PENTHOUSE(ペントハウス)」(講談社)も、25日発売の12月号を最後に姿を消す。両誌に限らず、若い男性向きの雑誌は最近、全般に低迷ぎみ。背景を探ってみると……。


「平凡パンチ」は、昭和39年4月に創刊。ヌードグラビアや若者向けのファッション情報がうけ、一時は百万を超す部数を誇った。アイビーファッションに代表される同誌の「提案」は、そのまま若者の生活スタイルに反映された。

ところが、10年ほど前から部数が落ち込み始めた。日本ABC協会が出版社からの報告をもとに行っている調査によると、54年の平均販売部数は約79万7千。それが、3年後には約54万に減り、翌年からは同協会への報告そのものが行われなくなった。最近の発行部数は30万前後といわれ、これまで何度か試みられたモデルチェンジも、低落の流れを押しとどめることはできなかった。同誌は「パンチ」という言葉を使った新しい雑誌名を募集し、来年2月に再スタートする予定だ。

一方、月刊誌「ペントハウス」は、58年3月に創刊。袋とじ付録を売り物に、60年には65万部に達したが、その後は売れ行きが鈍り、昨年末には31万部(出版科学研究所調べ)にまで落ちた。今回の「終刊」は、提携先の米国ペントハウスインタナショナル社との出版契約期間が、今年いっぱいで切れるというのが表向きの理由だが、事実上の廃刊といっていいだろう。

売れなくなったのは、この2誌だけではない。「平凡パンチ」の対抗誌「WEEKLYプレイボーイ」(集英社)は、55年には113万2千部(ABC調査)だったのが、昨年は62万8千部に。月刊誌の「ザ・ベストMAGAZINE」(KKベストセラーズ)、「GORO」(小学館)、「PLAYBOY」(集英社)なども、それぞれ部数を落としている。

こうした男性誌の低迷の要因について、「WEEKLYプレイボーイ」の福田収編集長は「映画や音楽、ファッションと、さまざまなジャンルの雑誌が出てきたために、いろいろな情報をすべて盛り込んだ総合誌的な雑誌が苦しくなった。パンチが休刊になっても、その読者がプレイボーイを買うようになるかどうか」と話す。

「平凡パンチ」が担っていたのは、まさに若者文化の総合雑誌的な役割だった。少し背伸びすれば手にとれそうな豊かさという夢を、若者はそこに求めた。ところが、実際に若者が経済的に豊かになり、かつて夢であったものが、現実の1つの選択肢の意味しか持たなくなったとき、広く浅くの総合誌は、読者を引きつける魅力を失っていった。より詳しい音楽誌、自動車情報誌などへと、雑誌も読者も細分化されていったのだ。

さらに挙げられるのは、マス・マガジンにおける女性の「商品化」が限界に達したという点だろう。好悪、是非は別として、若い男性向け雑誌の目玉が女性のヌードグラビアであることは否定できない。いくら「過激さ」を売り物にしても、それはすぐに“平凡”な刺激でしかなくなる。が、広告収入をあてにする大部数雑誌であれば、広告主との関係から、雑誌のイメージも大事にしなければならず、過激さにもおのずと限界がある。「もっと過激に」という読者は、“平凡な過激さ”にあき、別のマイナー雑誌やビデオなどに流れた。過激路線で売った雑誌は、結局、その過激さが足かせとなって部数を減らしていったといえるだろう。

いま若者向け雑誌で活気があるのは、洋服や雑貨などのモノ情報誌だ。この秋に創刊が相次ぎ、既存誌を含めて10誌を超える勢い。その土壌にあるのは「仲間と共通の話題を持っていたい。でも、少しだけ仲間と違っていたい」という「画一性のなかの個性」志向だ。

人間でもなく、社会でもなく、モノに向かう若者たち。雑誌の消長が、今の時代を映し出している。

(1988年10月29日)
前の記事へ 次の記事へ
画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Netscape7.0以上、Firefox 1.0以上、Macintosh Safari 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。