7月23日午後3時38分ごろ、神奈川県・横須賀港北防波堤灯台の東3キロの海上で、浮上して航行中の海上自衛隊第2潜水隊所属の潜水艦「なだしお」(2200トン)と、富士商事所属の大型釣り船第1富士丸(154トン、乗員9人、乗客39人)が衝突、同船は2分後に沈没した。海上保安庁や防衛庁の調べでは、釣り客と乗員計19人を救助したが、うち1人は同夜死亡した。残りの29人が行方不明になった。釣り船には、伊藤忠商事の関連会社で作る親ぼく団体「東京藤の実会」の会員らが乗っていた。
潜水艦「なだしお」は、伊豆半島沖で実施している自衛艦隊展示訓練に参加して、横須賀港に帰投する途中だった。第3管区海上保安本部(横浜)は、艦長(39)と救助された第1富士丸の船長(30)らから海上衝突予防法違反などの疑いで事情聴取して原因究明を急いでいるが、海上自衛隊側は24日未明の会見で「衝突回避が間に合わなかった」との見解を発表した。衝突現場は、東京湾の入り口近くで日本一の混雑海域といわれている。
横須賀海上保安部は、同日午後5時、「第1富士丸海難対策本部」(本部長・小西豊保安部長)を設置した。船長によると、衝突約5分前、浦賀水道航路の「5番ブイ」を通過する際、南東2マイル(約3700メートル)付近に「なだしお」を発見。その後時速10ノットで南下したところ、「なだしお」が近付いて来たため、エンジンを急停止させて船首を左に向けたところ、潜水艦が右に転回、前部右舷に「なだしお」が衝突したという。船舶が互いに接近した場合、衝突を避けるため右転するのが衝突防止の決まりになっているが、同船長は緊急とみて左転して衝突を避けようとしたという。
乗客の大部分は船首部分にあるサロンにいた。同サロンの出入り口は左舷側の1カ所だけで、左舷側が下になって転覆したため乗客の脱出口がふさがれる形になったという。
一方、海自側によると、「なだしお」は、通常の入港時のほぼ倍に当たる11ノットで航行、横須賀港に向けて西に方向を変えた直後、右前方に第1富士丸を、左舷に近づいてくるヨットを発見。ヨットを避けたが、第1富士丸が右千ヤード(914メートル)先に近づいていたため、このままでは衝突する危険があると判断。右に転回してエンジンを止めた後、後進をかけたが、1、2分後に衝突したという。
当時、「なだしお」のブリッジには艦長、副長、哨戒長、見張り員の計4人がいて、操船などに当たっていた。
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