
バンダイは、ご飯を食べさせたり、トイレの世話をしたりする育て方で、携帯型の液晶画面の中のペットの姿が変わる「たまごっち」を売り出した。時計を合わせると5分後にたまごがかえり、おなかが減ったり遊んで欲しいときにピーピー音を出して食事などをせがむ。
「たまごっち」大流行(天声人語)
「ごめんなさい」と書いてあるにしては鼻息が荒い広告を、「たまごっち」の製造元が新聞に出していた。品薄状態が続いているが、フル稼働の増産で4月には入手しやすくなります、と。
<液晶画面の中で謎(なぞ)の小動物たまごっちの世話を焼き、その育て方により多様に成長するのが特徴>と、これも広告の文面。女子中高生中心の人気が大人にも広がり、すでに75万個(単価1980円)を売ったとか。テレビは、限られた品を求め、未明、前夜、あるいは2日前から長蛇の列をつくる人びとを映し出す。
年配の人なら、覚えているだろう。この種の行列は昔もあった。たとえば1960年(昭和35年)のだっこちゃん。<午前10時デパートのドアがあくと、待ち構えていた数十人、ときには数百人の若い女性が髪をふりみだしてエレベーターにも乗らず階段を一気に4階か5階のおもちゃ売り場にかけ上がってゆく>と当時の新聞は伝える。売り上げは550万個(単価180円)。
1958年(昭和33年)のフラフープは米欧での流行を経て上陸した。<池袋のデパートでは開店前からフラフープのお客さまを一列縦隊にズラリとならべて、整理券を発行している。しかし1日分約4百本の券は1時間足らずでおしまい〉という騒ぎ。1カ月で80万本(単価270円)が売れる勢いだった。
遠く1933年(昭和8年)のヨーヨー。勤務中のお巡りさんまで興じ、叱(しか)られたそうだ。木、ブリキ、牛の骨など材料によって1個3―20銭。貧しいために子どもに買ってやれず、学校に禁止を訴える親もいた。また、持参を禁じる学校もあった。
大流行のつど、なぜブームなのか、識者があれこれ分析してみせた。一つ確かなのは、ビアスのつぎの定義。流行とは<賢者が、嘲笑(ちようしよう)しながらも、その命に従う暴君>=『悪魔の辞典』岩波文庫。
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