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湯花咲く頼朝公ゆかりの至福の湯

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編集部現地レポート

「平四郎」が守る文化財

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夜空に浮かび上がる斉月楼。その美しさに息をのむ

温泉の効果を盛り上がるのは、昭和初期の建築様式を今に伝える歴史的建築だ。

もともと金具屋は湯治宿だったが、昭和のはじめ、6代目金具屋平四郎が「これからは1、2泊の観光旅行の時代がやってくる」と機転を利かせ、3年かけてつくったのが数奇屋造りの斉月楼。観光旅館の先進地だった伊豆や箱根に宮大工を同行させ取材し、贅(ぜい)を尽くした。建築費用は当時の金額で10万円(貨幣価値を正確に比較することはできないが、ひとつの目安として消費者物価指数で試算すると2億円近い)。長いもので15メートルもある13本の通し柱で4層の楼を支えている。だから、階が上がるほど通し柱も細くなっていく。

斉月楼は、各部屋を一軒の独立した家屋に見立てて造った。だから、部屋の外にはひさしが出て、廊下は宿の前を通る草津街道に、天井は青く塗って信濃の空にそれぞれ模した。黒光りした廊下や階段、ちょうちんやランプの明かりが昭和初期の歴史を鮮やかに浮かび上がらせる。食事をとる大広間とともに、国の登録有形文化財に指定された。

4棟29室からなるこの歴史ある温泉宿を差配するのは「平四郎」だ。7代目は西山平四郎さん(81)、息子の政樹さん(52)が8代目、そして孫の和樹さん(27)が9代目を継ぐ。代々「平四郎」の名を襲名することになっていて、戸籍まで「平四郎」に変えるという。まさに、人生をかけた宿の経営なのである。9代目の和樹さんは夕方から館内を歩きながら、金具屋を案内してくれるので、ぜひ声をかけてみよう。金具屋がぐっと身近に感じられるはずだ。

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斉月楼の最上階(4階)下の踊り場を彩る絶景。窓は富士山に見立て、明かりのぼんぼりは月に見立てている。どこからか秋虫の声音が聞こえてくるようだ
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玄関わきに置かれた、映画でおなじみの「カオナシ」の置物
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天井と壁をつなぐアーチ状の細工は「折り上げ」、格子の中に格子を組み込んだ天井は「二重合天井」と呼ばれる。宮大工の特筆される技術で、全国の神社仏閣でも例を見ないといわれる
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