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JR由布院駅からタクシーで7分。町並みから離れ、由布岳をのぞむ自然豊かな地区に、本館を中心に同心円状に離れが12棟。新潟・富山県境から移築した名家、別府にあった昭和初期の別荘も移された。案内された離れ「明治」へ(小森谷 清光)
客室はすべて別棟の戸建て。12棟の中で最も広い「明治」は、92年に無量塔(むらた)がオープンした際、北陸から移築された6棟のうちのひとつだ。富山県に近い新潟県にあった民家を解体し、材料は船とトラックで由布院に運ばれた。
設計士によって新たに書かれた図面は、玄関を入ると吹き抜けの囲炉裏、その奥に革張りのソファが置かれた20畳ほどのリビング、床の間のある完璧な和室が2部屋。ベッドのある3室の寝室はフローリングの洋間。そして、由布院の湯が引かれた内風呂は大人が10人も入れる広さを持つ。温泉旅館という印象はなく、趣味人の友人が金をかけて立てた別荘へ遊びに来た錯覚に陥る。
12の離れはすべて、建物は「和」である。ところが、居間にはソファ、寝室はベッド。夕食の後、「お布団をお敷きいたします」と、部屋へやってくる女中さんへの気遣いがいらないのだ。内風呂だから、深夜の2時でも湯船につかることができる。
早々に風呂へ。湯は無色透明、無味、無臭の単純泉。大きな窓を開け放つと、サクラ、モミジ、ケヤキ、ヤマボウシが目に入る。聞こえてくるのはコオロギの鳴く声だけだ。あまりの自然と静寂。どう過ごしていいか分からず、思わず冷蔵庫から冷えたビールを取り出す。
もともとは杉林だった場所に、わざわざ落葉樹を植え、敷地すべてを雑木林にした。そのなかに、点々と離れが建つ。建物が接近していないため、これだけの静寂が保たれるのだろう。12棟はすべて、建物も室内も風呂もつくりが違う。金と時間があれば、離れすべてに泊まってみたいと思う。
由布院には温泉街というものがない。宿は町のあちこちにぽつん、ぽつんと点在している。かつて「奥別府」と蔑称された面影はすでになく、「湯布院」の名が定着した。
敷地を散歩する。私設の美術館、チョコレートショップ、本館につながるバー、図書室、イタリアンレストラン、そば屋。どれも個性的な建物ばかりだ。吸い寄せられるようにのぞき歩いた。







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