

日本最大の卸売市場である築地市場から、冬の食材についてシリーズでご報告します。今回ご紹介するのは、ごく日常的な食材「ミカン」です。お正月にコタツに入ってのんびりと皮をむきながら食べたあの「ミカン」です。たかが「ミカン」、されど「ミカン」、究極の味はいったいどこにあるのでしょうか? 食材選びに協力してくれたのは、萩原章史さん。水産部門、青果部門を問わず築地市場に精通した水先案内人です。
古典落語に出てくる最も高い果物といえば「千両蜜柑(せんりょうみかん)」だろう。長らく勤めた番頭さんの退職金が50両足らずの時代に、ミカン1個千両、という話である。季節はずれの夏場のミカンについた法外な値段が千両だった。

今、ミカンは、季節を問わず、年中手に入る。関東から沖縄まで産地が広がり流通網が整備されたこと、ハウス栽培、保存技術の発達によるものだ。品質が均質化し、安定供給されるようになった半面、その消費量は減ってきている。実際、築地の仲卸で扱うミカン箱もその大きさが変わった。昭和40年代初期には20キロ箱だったものが15キロ、10キロと姿を変える。
消費者のミカン離れが進む中で、一部の農家は「本当においしいミカン」「究極のミカン」作りを追求している。



日本人のみかんの対する嗜好(しこう)は、91年のオレンジ輸入自由化以前と後では、明らかに違うような気がします。みかんだけで育った一般的な昭和人にとってのみかんは、劇的に甘いものというよりは、酸があり食べ飽きがこない味がイメージです。一方、身近に安価なオレンジが転がっていた若い人にとっては、オレンジ系の味や、酸味がないものが好まれるようです。「みかん」にも、「三つ子の魂 百まで」は言えるようです。
うまいもんドットコム経営者・萩原章史

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