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冬の味覚@築地
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ミカン - コタツの味から究極の味へ -

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ミカンを取り巻く目利きたち

目利きになっても商売は難しい

プロにとって目利きになるこつは、第一に「畑に行くこと」だ。農家の人と同じ格好をして畑にはいっていくために伊東さんは常に、雨合羽と長靴を持っていくという。愛媛、和歌山、熊本、長崎、佐賀…と、生産地は多く、季節を問わず駆け巡る生活だった。

「現地に行く」という鉄則を教わったのは、業界の先輩だったという。先輩から見よう見まねで学んだことの中には、たとえばお客さんにミカンの試食をしてもらうとき、倉庫に積んである冷たいミカンを渡すのではなく、あらかじめそっとポケットに忍ばせて温めておいたミカンを渡して試食してもらう、という気配りがある。ミカンは冷たいときより温かいほうがおいしく感じる。

ミカンに精通し、接客術を学んでも、商売はやっぱり難しい。なんといっても「お中元」をやっているころに「お歳暮」の値段を決めなくてはならないのが大変だ。夏を越して品薄になり、大きく値段が上がってしまっても、前に提示した値段で「お歳暮」を売らざるを得ない。「そういうときに限って注文が多いんですよ」と伊東さんは苦笑いをする。相場の乱高下による成功や失敗は限りがないようだ。

グラフ ミカン1キロあたりの価格
年ごとの価格の乱高下が激しいのがわかる。先を読むのはまさにバクチだ。

消え行く店頭の目利きたち

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昔の築地について語る伊東さん(左)と鈴木さん

かねす鈴屋の納品先は多く、高級品を納めるデパートや高級スーパー、町の果物店やスーパー、さらには居酒屋も大きな納品先だ。高級スーパーや果物屋の担当者には、相当の目利きがいるのではないか、という問いに伊東さんは「担当者が売り場から売り場へコロコロ代わるので、名人といえる人は本当にいなくなった」という。

けれど、昔はそういう人がいた。鈴木幸雄さん(72)だ。東京・東麻布の八百屋「八百鈴」のご主人である。創業100年の八百鈴で18歳から修業した。当時は農協がなく、ミカンは農家が個々に出荷していた。むろん決まった規格もない。箱には、生産者の名前とナンバーが振ってあるだけだ。良し悪しを見分ける手がかりがないので、自分で食べてみるしかなかったという。生産地、品種、どこの農家かを把握し、価格と考え合わせながら、仕入れをしていく。産地ごと種類ごとの相場をインターネットで瞬時に確認することができる今と違って、値付けも自分の腹ひとつでできた。鈴木さんは、「今は目利きが関係ない時代。店に来るお客もあまりうるさいことを言わなくなってきた。町の八百屋が繁盛しているうちはいいが、近くにスーパーができて経営が苦しくなってくると、ものにこだわっている余裕がなくなる。今は町の八百屋でこだわりのものが売れる時代ではないのかもしれない」と語る。

素人へのワンポイントアドバイス

店頭の目利きがいなくなってしまった現在、素人がミカンの良し悪しを見分けるコツは何だろうか。伊東さんが出した結論は「試食です。すすんで試食させる店はいい店です。その場でミカンを割って試食させたら、それでまず合格。もちろんその味がいいことが前提ですが…」とのことだった。

プロフィール

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伊東義雄(いとう・よしお)

1939年生まれ 大学での専攻は建築学。「気がついたら築地にいた」そうだが、理系の血は失われてはいない。今回の取材に当たってさまざまな数値データを用意してくれた。暇があるとデパートめぐりをしていて、ブランド品のパッケージを見ては、ミカンの箱について考えるそうだ。すべての高級品はミカンにつながる、という。

編集部耳より情報

「珍しい」から「おいしい」へ

ミカンのお菓子というと、ゼリーやシャーベットなどいろいろあるが、今回は一風変わった角八本店の「みかん大福」を紹介する。

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角八本店7代目 薦田亮さん
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ミカン大福の断面。かぶりつくと、上品なあんの甘みとジューシーなミカンの食感が新鮮な組み合わせだ。

当初は「おもしろい」「珍しい」という理由で買う人が多かったが、しばらくたつと、実際に食べて買う人が増えてきたという。

「ミカンは皆が大好きな定番の果物。それをわざわざ大福にするのですから、ミカンだけで食べるよりもおいしい、楽しいと感じてもらわなくてはならないと思っています。」という薦田さん。大福として大きすぎないようSSサイズを使用し、くい口に違和感がないよう、ミカンの内側の袋が柔らかいものを選んでいる、また糖度の高いミカンのみを仕入れるようにしている。ミカンと大福の皮の間のあんは手亡豆の白あんを使用。ミカンとの相性を考えたなめらかなあんである。外側の生地は求肥粉、羽二重粉、白玉粉から作られたきめ細やかな餅生地。ふわりとしたやわらかさとコシのバランスを意識して作っているという。

デザイナーの仕事をやめて角八に嫁いだ妻真由子(まゆこ)さんの手作りのホームページを通した通信販売も好調。店頭とあわせて1カ月3500個を売り上げる。

かねす鈴屋

〒104-0045

東京都中央区築地5-2-1

Tel 03-3541-5005 Fax 03-3541-8540

御菓子司 角八本店(かどはちほんてん)

〒299-4301

千葉県長生郡一宮町一宮3012

Tel 0475-42-2068 Fax 0475-42-8168

(更新日:2007年2月15日)

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