東京築地市場の仲卸「小田政(おだまさ)」社長の清水愛一郎さん(54)によると、イチゴの好みは、西と東で異なるという。岐阜の「関が原」で分かれるという説もあるが、いったいに西は酸味の弱いものを好み、東は酸味の強いものを好む傾向があるそうだ。
その結果、関東地方は酸味の強い栃木の「女峰」が、関西以西は甘みの強い福岡の「とよのか」がそれぞれ市場を制した。80年代半ばには東の女峰VS西の「とよのか」といわれる時代が続いたが、89年に「とよのか」が全国の販売額で逆転。94年には、東京卸売市場での扱い高もトップに立った。全国的に甘み志向が強まったのが要因といえるのかもしれない。以降「女峰」は、テレビCMや店頭の陳列コンクールなどの努力もむなしく減り続け、「とよのか」に水をあけられる結果になった。
「とよのか」はその後5年にわたって、東京卸売市場を制したが、栃木にも90年代前半からひそかに開発していた秘密兵器があった。「女峰」とバトンタッチする形で登場した「とちおとめ」である。「とちおとめ」は、「女峰」に比べると糖度が高く粒も大きい。栃木を中心に急速に作付面積を増やし、01年には東京卸売市場で「とよのか」を抜いた。その後、今に至るまでナンバーワン品種としてイチゴ市場に君臨している。
一方、一世を風靡した「とよのか」は「女峰」のあとを追うように東京卸売市場から姿を消していく。「とちおとめ」の長期政権は安泰かと思われたが、この数年で、九州勢の追い上げが始まっている。
その中で、とりわけ人気を高めているのが「あまおう」である。「あまおう」は「とよのか」と異なり、九州でも福岡県でしか栽培されていない。「あまおう」は「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字から命名され、発売当初からCMやイベント、キャラクターグッズ制作を積極的に行い、宣伝に大きな力を注いだ。

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