前回、Aさんが、インターネットを活用して、古いカメラを手に入れるところまでを紹介しました。Aさんはさらにネットを通じて、カメラ仲間を増やしていったようです。なお、このお話は、フィクションですが、ネットではほんの少しの積極性があれば、よくある話です。

中古とはいえ、物を手に入れるのはうれしいものです。ふと、仕事の帰りに同僚と寄った居酒屋で、いかにして自分がカメラを買ったかを話します。「ネットって意外と役立つものだね」などと、ちょっと自慢気味にもなりました。そのとき、「じゃあ、カメラを使うのもネットを活用してみましょう」と40歳くらいの部下から声が上がりました。話を聞いてみると、普段は一人で撮影していても、人とのつながりがあれば、よりモチベーションが保てる、とのこと。たしかに、カメラについていろいろと覚えることもでき、便利そうです。
「とりあえず、今度オフ会がありますから一緒に行きましょう」
オフ会とは、ネットでの知り合いが現実に集まって開く会合のこと。ネットにつながっている状態の「オンライン」の逆だから、「オフライン」というわけです。

いきなりオフ会と言われ、Aさんはちょっと戸惑ってしまいました。そもそも、どんな集まりなのかよくわかっていません。言葉を濁していたのですが、結局、部下に押し切られ、参加する約束をしてしまいました。
翌日、その部下から一通のメールが届きます。オフ会をする仲間というのは、SNS(ソーシャルネットワーク)のコミュニティーでのことらしいです。一応、コミュニティーに参加しておいて欲しい、と書かれていました。
書き込みを眺めていると、カメラを買うときにも読んでいたコミュニティーの、気づかなかった部分が発見できます。意外と雑談が多いこと、質問に対する答えも話の流れや聞き方で随分と異なるようです。読みすすめていくと、きっとこれを書いていた×××さんは、こんな人、○○○さんはこんな人、などと想像するようになりました。
「なにか書いたほうがいいかな?」と誘ってくれた部下に相談すると、
「自己紹介をするトピックがあるので、まず、そこでのあいさつからですね。私との関係は、書いても意味ないので、ナイショにしておきましょう」。ネットのつきあいはどこか平等な関係のほうがスムーズに進むとのこと。加えて、ネットでは、具体的に個人が特定できるようなことはなるべく書かないほうがいいと教わります。
「それと、オフ会への参加も申し込んでください」。てっきりお客さん状態で連れて行ってもらえるものだと思っていたのですが、そう甘くはないようです。
「自己紹介したらみんな立場は一緒ですよ」と言われました。
自己紹介は、すでに書かれているものを参考に、「知り合いに誘われたこと」「最近カメラを買ったこと」「まだ初心者で分からないことだらけ」ということを書きました。
ネットの書き込みでは、ほかの人の書き方を参考にすることが大切です。短い文書でやりとりしているところに、長い文章を書き込めば嫌われますし、場の雰囲気というものがあります。Aさんのように、できるだけ事前に読み、それから書き込むようにしたほうがよいでしょう。
さて、実際のオフ会ですが、Aさんの心配は取り越し苦労だったようです。最初は会話に加われませんでしたが、周りの話を聞いているだけでも楽しいものでした。少しずつ話の輪に入るようになり、後半になると随分と溶け込め、会が終わるのが残念に思えるほどでした。年齢の幅も広く、職業も色々、仕事帰りにスーツで来る人もいれば、ラフな格好で来る人もいます。
ただ帰り道で、一緒に参加した部下に一言、注意されてしまいます。
「気心が知れるまでは、お互いに、なるべく敬語を使って話したほうがいいですよ」。ネットでの付き合いは、年齢などは関係ないのが基本です。その人のキャラクターにもよりますが、実際に会ったとき、横柄な態度をとってはネットで嫌われてしまうこともあるようです。堅苦しくなる必要はないけれど、オフ会の場では、上司と部下ではないのだからとくぎをさされます。
ネットの集まりで、こうしたオフ会はそう珍しいものではありません。ネットでの知り合い同士、実際に会おうとなるのは、自然な流れなのです。ネットを使い会うというなら、いわゆる「出会い系」も同じようなものですが、最初から会うことを目的としているという違いがあります。

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