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はじめに

環境問題は人間問題と言い換えた方が良いと思っている。私たちが環境問題と呼んでいる、地球温暖化、森林破壊、資源の枯渇、生物多様性の消失、ゴミ問題などは、まさしく人間が引き起こした、人間の問題に他ならない。地震や火山噴火、台風などの自然変動も人間社会へのリスクが問題の核心だ。

環境問題という言葉で考えていると、いつまでたっても「あちらの問題」で、自分には関係ない気がするが、人間問題となれば「こちらの問題」に変わる。人間の問題である以上、人間が変われば、つまり自分が変われば未来を変えることができると思い直すこともできる。どんなことであれ、あきらめや無関心こそが、最大の問題なのだ。

東京大学の山本良一教授とともに1年をかけて編集し、この春に出版した「気候変動+2℃」には、国立環境研究所が計算した1950年〜2100年までの温暖化予測が掲載されている。今回、年代ナビゲーションにあわせてその一部を年代ごとに掲載している。

もし、このまま高度成長を続けると、2100年には地球の平均気温が5℃近く上がるという深刻な計算結果だ。この150年間のコンピュータシミュレーションを本書の縦糸に据え、フリップブック形式で映像的に把握できるようにしてみた。一方、地球温暖化や気候変動といった大きな問題を、どうすれば身近に考えることができるかと考えて、横糸として150年間の時の流れを編集してみた。150年というのは、たとえば両親が生まれてから、自分の子どもがこの世を去るくらいまでの時間感覚だ。実際に読んでいただくとわかるのだが、50年前には環境問題という言葉はなかったし、まだ誰も地球の姿を見たことがなかった。この50年間、人間は実に多くのことを学んできた。科学者は時には命がけで調査を行い、温暖化を含む地球規模の問題を発見した。宇宙から見た地球の映像や、宇宙飛行士たちの証言は、私たちに新たな視点を与えてくれた。生命を湛える青く美しい惑星の存在が、広大な宇宙の中でどれだけ奇跡的なことか、わからせてくれた。インターネットの普及によって、そうした知識や知恵を一瞬にして世界全体で共有することもできるようになった。

このままだと100年後に人間は滅んでしまうと言う科学者もいる。それを信じたくはないのだが、いまが分かれ道であることも確かだ。私たちが人間問題を解決し、よりよい100年後を次世代に残していくために、今できることは何かないだろうか。問題を放置して傍観することは簡単だ。でも、その姿勢が自分の子どもたちの時代にツケを回している、と考えればどうだろうか。今日、職場のミーティングで話すこと、明日、子どもとする会話。そんなことからでも未来に変化は起こせる。まず無関心を追い払おう。いまここで生きている「私」が、過去と未来をつなぐ存在であり、同時に世界とつながりながら生きていること…このコーナーが、そんなことを考えるきっかけになればと願っています。

上田壮一
Think the Earthプロジェクト プロデューサー
「気候変動+2℃」編集ディレクター

Think the Earthプロジェクトとは?

Think the Earthプロジェクトは2001年2月に発足。「エコロジーとエコノミーの共存」をテーマに、「地球や世界について考え、学ぶきっかけづくり」を行っている非営利プロジェクトです。これまでに地球儀型腕時計「wn-1」、写真集「百年の愚行」、書籍「1秒の世界」、「世界を変えるお金の使い方」、「えこよみ」、携帯アプリケーション[live earth]など、数々のソーシャル・プロジェクトを世に送り出してきました。また、企業とNPOを結ぶセミナーを開催し、日英バイリンガルのウェブサイトやメールニュースで、地球に関する先進的な情報を発信するなど、活動は多岐にわたっています。

Think the Earthプロジェクト 公式サイト

「気候変動+2℃」について

今回、年代ナビゲーションに対応させて掲載している各年の「地球の姿」は、「気候変動+2℃」に収録されている温暖化シミュレーションの一部です。

地球の平均気温が工業化以前に比べて2℃上昇すると、気候変動による人間社会へのリスクが急激に増大すると言われています。本書は国立環境研究所の協力により、1950年〜2100年までの温暖化シミュレーションをフリップブック形式で掲載。パラパラめくると、わずか150年の間に地球が温暖化していく様子が手に取るようにわかります。私たちは今、未来を選択する分かれ道に立っているのです。「地球温暖化」という言葉は誰もが知っています。本書は、その言葉をただ鵜呑みにするだけで終わってしまわないために、皆が自分のこととしてこの問題を考え、行動するための本として誕生しました。(責任編集:山本良一 編集:Think the Earthプロジェクト ダイヤモンド社刊)

「気候変動+2℃」 ホームページ

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