セーターやカーディガンなど、冬のワードローブに欠かせないニットウエア。スーツの下に重ね着すれば、ウォームビズにも効果的だ。しかし、ニットといっても様々な素材がある。さらに、どんなデザインや色を選べば失敗しないのだろうか。ニット選びのコツや着こなしのポイントを、スタイリストの高須美代子さんに聞いた。
繊維は、大きく分けると、綿、麻、羊、絹などの天然繊維とナイロン、ポリエステル、アクリルなどの化学繊維がある。最近は天然繊維の人気が高い。高須さんによれば、独特の風合いがあって、着るほどに体になじんでくるのが魅力とのこと。「化学繊維のチクチクする肌触りが苦手という人は案外多いんですよ」という。
冬のニットウエアに使われる天然繊維のなかで最も一般的な素材は羊毛。19世紀末にアメリカでスポーツ選手が発汗(sweat)作用を促すために、毛糸で編まれたシャツを着たことからセーター(SWEATER)という呼び名が生まれたという。
本来、セーターは下着以外のニットウエア全般をさす言葉だが、日本では頭からかぶって着るプルオーバー型をセーターと呼ぶことが多い。
動物から採れる繊維には、羊毛以外に、山羊やらくだ、ウサギなどがあるが、なかでもカシミア山羊から採れる毛を原料とするカシミアは、ニットの最高級品として知られる。カシミアという名前の由来は、千年ほど前にインドのカシミール地方で作られた山羊の毛のショールが、シルクロードを経てヨーロッパに伝わったことだという。
カシミア山羊の生息地は、中国、モンゴル、イランといった冬の寒さが厳しい山岳地。15〜20センチの外毛の下に2〜3センチの内毛がある二重構造で、使われるのは内毛だけ。この内毛は厳しい自然環境の中でなければ育たないため、限られた地域でしか採れない。その希少性もカシミアが高級品とされる理由だ。
羊はバリカンで毛を刈り採るが、カシミア山羊は人の手でていねいに梳(す)き採って集める。1頭から採れる量はわずか150〜200グラム、セーター1着に約4頭分の毛が使われる。
カシミアの原毛には、白、ライトグレー、茶の3色があり、色と等級によって価格が違う。一番高価な色は白で、中国産のものが良質とされている。
保温性に優れ、柔らかで軽く、上品な光沢や独特のヌメリをもつカシミアは「繊維の宝石」とも呼ばれている。
繊維が細くデリケートなカシミアの風合いを保つためには、脱いだらブラシで表面のホコリやゴミを軽く払い、ハンガーにかけて風通しのよいところにつるして湿気をとる。続けて着ると毛玉や毛羽立ちしやすくなるので、1日着たら2、3日は休ませることも必要だ。頻繁にドライクリーニングに出すのも避けたい。
カシミア以外のニット製品も同様の手入れをすれば、長く愛用することができる。
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