炭が、水を浄化したり消臭したりする機能があることはよく知られている。最近では炭の入ったせっけんやシャンプーなど炭入り製品も多く出回り、女性の炭ユーザーが増えているという。
とはいえ、その効果はどれほどのものか、炭の種類によって違いがあるのかなど、奥が深そうだ。
それぞれの特徴を生かして上手に使うコツを東京・目黒で炭の専門店を経営する炭アーティスト、道祖土(さいど)靖子さんに話を聞いた。
燃料としてだけでなく、癒しや健康に役立つ天然製品として注目されている炭。その効能は、除湿・浄化・消臭・防虫など、実に幅広い。
「そもそも、日本人が炭を活用してきた歴史は古く、縄文時代にまでさかのぼるといわれています。先人たちは古くから炭のパワーを知り、さまざまな場面で利用していたそうです」と道祖土さん。
日本では、昔から神社仏閣を建立する際には、敷地に炭を埋めて除湿や白アリ対策に役立ててきた。韓国では、炭が胃腸薬として用いられていたという。
1972年に中国・馬王堆(まおうたい)で女性の遺体が2000年以上前の埋葬当時そのままの状態で見つかり、世界中の注目を浴びた。その周辺には、5トンもの木炭が使われていたという。
炭の除湿・浄化・防虫の効果が保存性を高めるため、日本や中国では古来から建物や墓にも炭が使われていた。
「炭の製法は中国から伝わった。しかし、燃料がガスや電気に変わった現代では、中国や韓国ではすでに炭焼きの技術は失われ、今では日本の高度な炭焼き技術はとても貴重です。炭は日本の大切な文化だと思います」と道祖土さんはいう。
では、炭の効能を生み出すのはどんな仕組みなのだろうか。秘密は、炭の組織にたくさん空いたミクロン単位の小さな気泡にある。気泡がフィルターの役目をするだけでなく、気泡の中には有用微生物が住みついていて有害な物質を吸い取り、きれいにして排出してくれる、という。この吸着力が、臭いを取り除き、水や土壌を清浄にしてくれるのだ。
道祖土さんは、他にも炭の効能を挙げる。湿気を調整する役割や殺菌作用があるので防カビや防虫にも効くこと。ミネラル分が豊富に含まれていて、水に浸すとまろやかで健康に良いアルカリ水になり、炊飯器に入れればおいしいご飯が炊きあがること。さらに、遠赤外線やマイナスイオンを出していて、電磁波を遮断するという効果も伝えられている。
森の中のマイナスイオンにはかなわないかもしれないが、「機械に比べれば、炭は見ているだけでも癒されると思いませんか? 黒でもグレーでもない暖かな炭の色は、日本のふるさとの色なのかもしれません」と道祖土さんは言う。
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