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エコーる・カフェ ナチュラル事始め

みそ名人に挑戦 手作り保存食入門

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冷凍や冷蔵をしなくても食べ物を長持ちさせることはできる。おまけに微生物の働きで、独特の旨(うま)みや香りが生まれ、栄養価が高まる――それが発酵食品だ。いわば食べ物を舞台にした微生物と人間の知恵の共演。その舞台に参加してみたい人にお薦めなのが味噌(みそ)作り。手前味噌(自慢)ができるだけでなく、人と自然との共生について学べる「大人のための理科実験」だ。今回は、麹(こうじ)の杜氏(とじ)でインターネットに「お味噌作りサポート隊 おうちでてまえ味噌」を開設している小泉聡さんを先生役に、実験開始だ。

納得!発見!生活の知恵

発酵食品は保存食の一つ

さて、小泉さんに味噌作りを指南してもらう前に、食品を無駄にしないで、長持ちさせる方法にはどのようなものがあるか見てみよう。

缶詰めやレトルト加工、冷凍・冷蔵のような近代的、工業的な保存技術を別にすれば、伝統的な食品保存の方法は、「塩漬け」「糖(とう)漬け」「酢漬け」「乾燥」「薫製」「発酵」だ。

「塩漬け」や「糖漬け」は、塩や砂糖の浸透圧の作用によって微生物から水分を奪い、生育を抑える保存方法だ。新巻きサケとジャムの味は全く違うが、保存法としての原理は同じ。

「酢漬け」は、酢を加えることで食べ物の酸度を低下させ、微生物が育ちにくい環境を作るもの。

「乾燥」は、脱水によって微生物を生育しにくくしたもの。

「薫製」は、煙による防腐作用と脱水を合わせた保存法だ。いずれも、微生物が育ちにくい環境を作る点では共通している 。

これに対して、微生物に適した環境を作り、微生物の働きをコントロールすることによって、食べ物の旨みや香り、栄養価を高めたものが発酵食品だ。

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塩漬け:新巻きサケ、梅干、塩辛、魚の塩干物、漬物など。
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糖漬け:ジャム、マーマレード、羊かん、甘納豆、マロングラッセなど。
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酢漬け:ピクルス、らっきょう、しめサバなど。
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乾燥:干ししいたけなどの乾燥野菜、乾燥果物、魚の干物、粉末ジュースなど。
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燻製:かつお節(イラスト下は削り器)、ベーコン、スモークサーモンなどの加工工程に使われる。
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発酵:チーズ、ヨーグルト、醤油、納豆、ぬか漬け、味噌など。

味噌に秘められたパワー

発酵とは、カビ、酵母、細菌などの微生物が、糖やたんぱく質、脂質を分解し、アルコールや二酸化炭素、乳酸などの有機酸類を作ること。発酵の過程で微生物はさまざまな酵素を分泌する。発酵食品に独特の旨みや香り、触感があるのは、酵素の働きによるものだ。また、たんぱく質はアミノ酸に、カルシウムは乳酸カルシウムに変わっているため、消化・吸収率も高い。

味噌は日本の代表的な発酵食品。紀元前から中国で作られていた「醤(しょう)」や「し(豆偏に支)」という調味料が奈良時代に伝来したものが、味噌の前身だという説がある。室町時代以降、庶民の日常食として定着したと言われている。戦国時代には兵食として欠かせないものとなり、武田の陣屋味噌、上杉の越後味噌などが生まれた。

「医者に金を払うより味噌屋に払え」とか「味噌汁は医者殺し」という言い回しがあるが、これは栄養学的にも根拠がある。日本人の主食である米は高たんぱくな食品だが、必須アミノ酸8種類のうち、リジンやスレオニンが乏しい。一方、味噌をはじめとする大豆食品には、リジンやスリオニンがたっぷり。なにげなく食べている味噌汁とご飯は、素晴らしく相互補完的な組み合わせだった。

味噌は、言うまでもなく、大豆に麹(こうじ)と塩を加えて発酵させたもの。麹菌(カビの一種)を生育させた食材によって、米麹、麦麹、豆麹に分けられる。米麹と麦麹を合わせたものが、合わせ味噌。

味噌の発酵では、麹菌と乳酸菌、酵母、そしてこれらの微生物が分泌する酵素が、絶妙な連携プレーをしていく。先導役を果たすのが、塩に強い麹菌。大豆のたんぱく質やデンプンを分解する酵素を分泌し、アミノ酸やブドウ糖を作る。これを栄養源に、乳酸菌と酵母が増殖し、旨みや甘み、香りを作っていく。

「麹菌が耐塩性だったから、日本に味噌や醤油、日本酒、焼酎が生まれたんです。日本食を陰で支える大物が麹菌だと言っても、間違いではありません。でも、ほとんどの日本人は麹菌を見たことがないんですね」と語るのは、小泉聡さん。

では麹を手に入れて、小泉さんのアドバイスをもとに、実際に天然仕込みの味噌を作ってみよう。

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