
ドイツのフライブルグ発のエコファンドは、人々の出資金を、「匿名(とくめい)組合」を通じて太陽光パネルに投資し、そこで生み出された電力を売電することで、出資した人々に高利回りの配当として還元する仕組みだ。匿名(とくめい)組合とは、商法上の組合で、組合員が営業者に出資して、営業の一切を託し、組合員はその利益分配を受ける組合だ。
ドイツでは、一般住宅の屋根にソーラーパネルを設置する場合、低利で融資が受けられるという政府による助成がある。さらに、2000年に制定された「リニューアブル・エネルギー法(EEG)」によって、持続可能なエネルギーである太陽光で発電したものは、一定の価格で、電力会社に買い取られる。この法のシステムを上手く利用して、投資した人々に確定利回りを保証する「再生可能エネルギーファンド」が生まれた。
ファンドとして一口の単価を小さくすることで、一枚の巨大パネルを複数の出資者で所有することができる。人々はファンドを金融機関で買い、持ち分割合に基づき、金融機関を通じて配当金を受け取る。投資することによって、直接的にCO2削減に貢献し、同時に経済的利益を得られる可能性がある。
このエコファンドは日本でも購入できるが、「これはあくまでもフライブルグという街に暮らしている人が買うのがいい」と籔本さんは言う。
なぜなら、日本で購入する場合には、為替リスクや気候変動リスク、パネルが災害によって破損するリスク、政権が代わり法律が改正されるかも知れないという予期せぬリスクがつきまとうからだ。また日照率が低いドイツの空の下での取り組みである。短期で運用しようとすれば、ほかにもさまざまなリスクが発生するだろう。
あくまでもドイツの市政に参加でき、世の中の動きを把握できる人々こそが、その街の法律の恩恵のもと、お金では買えない深い喜びと満足感を得る。文字通り地産地消の「本来のエコファンド」だといえよう。
日本では、市民風車という、住民が共同で出資して建設した風力発電所がある。これは、「市民風車ファンド(匿名組合契約)」によって、住民からの出資金が風力発電事業者に融資され、立てられた。市民風車は、すでに北海道・東北を中心に9基が誕生(1基建設中)。さまざまなファンドが各種団体などで組成されている。
NPOなどの市民グループの活動を応援するファンドも日本各地で作られている。エコファンドをはじめ、市民活動を支えるファンドが育っていくことは、私たちの暮らしや文化を豊かにすることにもつながる。だが「くれぐれも、環境=地球に優しいという言葉だけにまどわされずに、中身をよく知り、よく考えて選んでほしい」と籔本さんは言う。
団塊の世代が大量退職し、少子高齢化社会の到来が迫るなかで、定年後のセカンドライフや地域の街づくりに、NPOなどが果たす役割はますます大きくなることが予想される。その際、NPOなどの民間組織の資金源を支える仕組みづくりが求められる。自分だけでなく、社会や地球環境に自分のお金をどう生かすかを真剣に考えなければいけない時代になってきたと言えそうだ。

ファンドの中身を目論見書などで、よく見て検討する必要があることは言うまでもないが、どういった企業がファンドに組み入れられているか、運用会社から定期的に出される運用報告書でチェックしたい。環境に貢献しているという企業活動の中身は、各企業から出されている環境報告書などで確認できる。
一方、次々と登場する市民出資型のファンドの中には、行政の監視下になく、投資家保護の規制が適用されないものもある。契約内容やリスク、資金の流れなどの情報開示がなされているかなどをチェックしたうえで投資したい。
さらに、成長には時間がかかるが、応援したいと思う環境活動や地域活動に対しては、直接出資や寄付という形での支援も考えてみたい。
「お金を子孫に残すだけでなく、生きている間に社会や地球環境に生かす。フライブルグの街にて、エコファンドを人々が支えたように、エコファンドを生み支援していく人間環境が、今こそ求められています」と籔本さんは結んだ。

籔本亜里(やぶもと・あり)
ファイナンスクリニック代表。社会開発研究センター理事。1958年東京生まれ。2001年、一つの窓口で法律から税務まで広範囲な相談に応じる機関、「ファイナンスクリニック」を創設。女性を中心とした弁護士や税理士、医療分野の専門家と連携し、さまざまな悩みを解決し、一人ひとりがそれぞれの生き方を実現していくために必要なサポートを行っている。
新規事業の企画プロデュース、情報発信を行い、朝日新聞土曜版be「お金の悩み・彼女の場合」好評連載中。
(更新日:2007年03月20日)
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