2006年3月、植物純度90%のバイオプラスチックを使った携帯電話が登場した。ボディの原材料は枯渇性資源の石油ではなく栽培できる植物、トウモロコシとケナフ。NTTドコモが、日本電気(NEC)と共同で開発したエコケータイ「N701iECO」。これまでも携帯電話の回収・リサイクルに力をいれてきたが、素材や製造段階にも注目して、さらなる一歩を踏み出した。

NTTドコモは2005年11月に契約5千万件を達成した。同社によれば、ユーザーは概ね2年に一度のペースで買い換える。となれば、毎年数千万台単位で不用な携帯電話が出るはずだが、同社が回収した数は1998〜2005年度累計で約6千万台。回収すれば、稀少金属は素材に戻し、再利用される。金属以外の素材もリサイクル処理を実施、すべての素材における再資源化率は100%だ。ところが、ここ数年は回収数が減っている。業界全体でも、回収率は21%だ。ペットボトルの回収率63.7%の3分の1にしかならない(*1)。
電話として使わなくなった携帯端末はどこにある?
利用者の手元に残されて、メールや写真の保存、電話帳のバックアップなどに有効利用されているものもある。2004年の1年間に端末を処分したことがあると答えたのは16%。その中の36%の人がごみとして捨てたという業界団体のアンケート調査結果もある(*2)。
「どうしたら携帯電話が環境保護活動に貢献できるかということがエコケータイの企画のきっかけでした」とNTTドコモ プロダクト&サービス本部プロダクト部第三商品企画担当の廣澤克彦課長は語る


エコケータイのプロジェクトは2004年夏、動き出した。
「先進技術を使って、エコロジーで、ユーザーに喜ばれ、センスのいい生き方をしている人が持つような商品をつくりたい。例えば トヨタのプリウスのような携帯電話」というのがコンセプトだったという。
高い、重い、格好悪い、すぐに壊れるなどのエコのマイナスイメージや「デメリットはすべて排除したかった」と廣澤さん。
廣澤さんとプロジェクトを担当した青木修一主査は「低電力、軽量、コンパクト化など、省資源、省エネの観点から循環型社会の実現に向けた商品開発を続けてきた。この点では行き着くところまで来た。次は材料面でやっていこう」と考えた。
素材をエコにという企画で、メーカーとの折衝が始まり、バイオプラスチックを使った試作機が2社によって作られた。いずれも2005年3月から開催された「愛・地球博」でNTTドコモのスタッフが使用。来場者の興味を引いた「環境に配慮した携帯電話」2機のうち、廣澤さんたちはNECの試作機に商品化の可能性を見いだし、本格的な製品開発に着手した。
◇(*1)携帯電話のデータについては、2004年度、電気通信事業者協会、情報通信ネットワーク産業協会調べ。回収台数÷(各メーカーからの出荷台数−携帯電話・PHS加入純増数)。ペットボトルの回収率については、2005年度、PETボトルリサイクル推進協議会調べ。
◇(*2)2004年度、電気通信事業者協会、情報通信ネットワーク産業協会調べ。リサイクルに関する実態を調べるため、携帯電話・PHS利用者2千人に対してアンケート調査を実施。過去1年間で端末をどのように処分したか、の質問に対して、分別ごみあるいは一般ごみとして捨てたと回答した人の割合。
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