アウトドアやスポーツウエアで知られる米国パタゴニア社。環境問題に積極的に取り組む同社は2005年、着古したポリエステル製品のリサイクルプログラムをスタートさせた。帝人グループが展開している完全循環型リサイクルシステム「エコサークル」を利用したもの。――回収したポリエステル製品を化学原料に戻してから新しい繊維に生まれ変わらせる「繊維to繊維」を実現した技術開発について、舞台裏を探った。

エコサークルは、帝人グループがアパレルメーカーなどと共同で展開している。アパレルメーカーやユニフォームメーカーの協力で回収した製品を、帝人グループがリサイクル技術によって原料段階に戻して再生し、再びアパレルメーカーなどで製品にして販売するもの。品質を劣化させずに何度でも新たな製品として再生させ、永久的に資源を循環させることができる仕組みだ。
米国パタゴニア社が参加したことで、エコサークルは海外にも広がった。同社は、これまでに約450キロの使用済みポリエステル製品を、日米の直営店に設置した回収ボックスや郵送で回収した。
店頭には10年以上着た製品を持ち込む利用者もいて、「自分の愛用した製品が新しい製品にまた生まれ変わる」と喜ばれた。
同社ではこれを「つなげる糸リサイクルプログラム」と名付け、今後はすべての製品を再生素材または再生可能な素材にするという目標を掲げ、拡大する予定。まさに、古着が紡(つむ)ぐ新しい糸の誕生だ。


帝人グループがポリエステルのリサイクルをはじめたのは、1962年のこと。「当時は、製造工程で発生する繊維くずを、化学反応で原料に戻すものでした」と語るのは、帝人ファイバー原料重合営業部長の佐藤和広さん。
その30年後、環境保護をめざし、使用済みの製品まで含めたリサイクル技術の開発がスタートした。
代表的なポリエステル製品であるペットボトルのリサイクル技術は、いち早く確立した。
だが、使用済み繊維のリサイクル技術は、ハードルが高かった。異物をさほど含まないペットボトルに対し、衣服にはボタンやファスナーがついているうえ、綿やナイロンなど、ポリエステル以外の素材が混ざっていることもあるからだ。さらに、さまざまな色で染められていることも再生を難しくしていた。
ポリエステル繊維のリサイクルには、これらの異物を取り除くための技術開発が必要だった。

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