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エコぜみなーる

Vol.03 28度設定にしてわかった 女性たちの冷たい視線 シビアなチェックに耐えられますか?

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斉藤トシノブ

1947年、東京生まれ。精密音響機器メーカーの営業部長。神奈川県在住。専業主婦の妻と、27歳の娘、24歳の息子あり。体重73キロ。若い頃は「平凡パンチ」や「メンズクラブ」を読んで多少のおしゃれを試みたこともあるが、就職してからは背広とネタクイ姿の方が、かえって楽だと感じるようになっている。いかにも団塊世代なビジネスマン。

女性にとって冷房25度は辛かった。

6月に入って、当社でも設定温度28度が始まった。この日は最高気温が28度だったため、単純に考えれば、空調は要らないことになる。だが、オフィスには熱を放出するパソコンやコピー機があるため、外気温より暑い。ネクタイを締めていれば暑苦しかったはずだが、私は月曜日からノーネクタイなので、涼しさと開放感を満喫している。

もっと喜んだのは、女性たちだ。オフィスで働く女性にとって、夏が「寒さに耐える季節」であることは知っていた。女性は手足が冷えやすいらしく、カーディガンをはおったり、膝掛けを使ったりする社員もいた。外から帰ってくる営業社員のことを考えて温度を設定すると、内勤の女性社員には、寒くてたまらないらしい。「この会社は、男の人中心の会社ですから仕方ないですね」と、普段は物静かな30歳代の女性社員から、嫌味を言われたことがある。

スカートをはいた女性たちと、ネクタイを締めた男たちが、同じ空間で仕事をするのは難しい。28度が妥協点になるのだろうか。

ノーネクタイに、心強い味方が登場

株式会社INAXは、今年クールビズバッジを作り、顧客先への訪問が多い営業を中心に配布した。

大事な取引先メーカーとの会議があった。私は白いボタンダウンのシャツにピンストライプの紺色の背広、胸にポケットチーフといういでたちで向かった。この会社を担当するようになったのは4月から。まだノーネクタイ姿で堂々と商談ができる関係ではない。だらしなく見えないか? 相手に対して失礼ではないか? 会社を出る前に珍しく、トイレの鏡で何度も全身をチェックした。

取引先の受付に着いた瞬間、私の目に入ったのは、「室内温度28度、実行中」のポスター。会議室にも、やはり同じポスター。そして、ドアを開けて入ってきた部長と課長の2人は、背広にボタンダウンのシャツ。胸ポケットには、チーフの代わりに「COOL BIZ」と書かれた水色のバッジがついていた。

環境を考える象徴として作成されたグリーンリボン。

会議冒頭の10分ほどは、クールビズ談義に花が咲いた。

この会社は、いくつかの省庁と取引をしている。霞ヶ関の職員のクールビズは徹底していて、営業マンは「クールビズでお越しください」と言われることもあるのだそうだ。

さらに、部長は会議室の隅にあった温度計を指差しながら、あくまでも室内温度28度と言っているのだと話してくれた。「設定温度を28度にしても、部屋の間取りや機械の数によって、実際の温度が28度以上になることもありますから」。メーカーは環境問題を意識せざるを得ない。部長は「ものづくりの現場があって、どれだけ環境負荷をかけているのかを知っていますから」と付け加えた。

ドキッとした。わが社もメーカーだが、昨年は25度を貫いていた。

急にネクタイをしなければならない時のために、会社にネクタイを常備している人も多い。都内デパートのネクタイ売り場にはネクタイケースも売られている。

クールビズ5日目の私は、これまでと異なるドレスコードに戸惑い、意識過剰になっている。そのことに、40歳代の課長は「昨年の私もそうでした。ネクタイを外すと、ファッション・センスの良し悪しが如実に表れるので、女性社員の目がやけに気になりました」と理解してくれた。部長は「女性のチェックは厳しいですよ。もっと奥さんが気を遣ってあげればいいのに、なんて平気で言いますから」と教えてくれた。

「ともあれ、今まで女性がどれほど冷房の寒さに耐えていたか、よくわかりました。環境にやさしく、女性にもやさしい会社にならないと」。

こういうセリフをすらりと言える課長がうらやましく思えた。

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