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エコぜみなーる

Vol.04 インテリアも28度が心地いい 自然と暮らす涼風生活 夜の冷房、なくても暮らせますか?

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斉藤トシノブ

1947年、東京生まれ。精密音響機器メーカーの営業部長。神奈川県在住。専業主婦の妻と、27歳の娘、24歳の息子あり。体重73キロ。若い頃は「平凡パンチ」や「メンズクラブ」を読んで多少のおしゃれを試みたこともあるが、就職してからは背広とネタクイ姿の方が、かえって楽だと感じるようになっている。いかにも団塊世代なビジネスマン。

へちまは、涼しくてきれいな緑のカーテン

私と妻が、寝室を別にするようになった原因は、クーラー問題だった。寒がりの妻と、暑がりの私。真夏の夜に私がクーラーをオンにして眠ると、20〜30分後に妻が起き上がってきてオフにする。また私がオン。妻がオフ。これは静かで陰湿な戦いであった。

ちょうど長女が就職し、ひとり暮らしを始めて部屋が空いたため、妻は寝室をそちらに移動。以来、私は気がねなくクーラーをつけて眠ることができ、妻との関係もまずまず。今年はせっかくだから、寝室のクーラーも28度に設定してみようか、などと考えていた。

ツル性の植物を利用して日差しを避ける方法も、「日陰部分の面積を広く」がポイント。工夫しだいでマンションのベランダでも取り入れられる。

あれは4月初旬の週末。ガーデニングが趣味の妻から、「へちまを植えるから柵(たな)を作って」と言われた。我が家には狭いながらも1階に南向きのテラスがある。テラスの外側に、へちまのつるをはわせるための柵を作れと。そんなものは朝飯前だ。すぐにホームセンターで太めの針金を購入。つなぎ合わせて格子状にして、テラスの屋根から地面まで斜めに覆う形で取り付けた。妻は柵の根元にへちまの苗を植え、ご満悦だった。

その後、へちまはメキメキと成長し、上に上にとはっていく。おかげで南側に日陰ができ、私の寝室もその恩恵を受けている。緑のカーテンができたようで、風が涼しく、見た目も爽やかだ。へちまの実ができたら、何を作ろうかと、私はのどかに考えていた。くり抜いてランプでも作るかな。楽器なんかも、出来るんじゃないかな。

しかし、実はこのへちま栽培は、妻の深謀の始まりだったのだ。

夜間の冷気を取り入れ、昼間の熱気を遠ざける

すだれを使う場合は、できるだけ遠くで日差しを遮り、日陰の領域を広く取るのがポイント。

ある夜、家に帰ると、私の寝室の東側の窓の外に、全面、簾(すだれ)がかかっている。居間になっている部屋の西側の窓も同様。そして、寝室のクーラーをつけようとすると、リモコンがない。かわりに、サイドテーブルの上に室外と室内の温度がわかる温度計がおいてある。

「今、外の気温は26度。冷房を28度にしても、外より暑くなるの。室外気温が28度以下の時は、冷房禁止!」と妻は宣言し、南側と東側の窓を開け放った。へちまの葉っぱの間から、涼しい風がスーッと入ってきた。

そこから、妻の長い長い講釈が始まった。なぜへちまを植えたか。それは、不快な輻射熱(ふくしゃねつ)を出さないためだ。植物は太陽光を受けると蒸散作用が強くなり、葉っぱ自体の温度は上がらないのだ。なぜ簾を東西の窓の外につけたか。朝夕の太陽光線の入射角は地面から30度。低いところから差し込むために、窓の下まで覆う必要があるからだ。なぜ外側につけたか。内側につけると、ガラス越しに入ってくる太陽光線が、室内を暖めるためだ。

夜間に窓を開けて外の冷気を取り入れておけば、建材が冷気を蓄えるため、翌日、冷房を28度設定にしても実際はもっと涼しくなる、等等。

「ようは、外の熱気を遮断して、外の冷気だけを取り入れるの」

<図1>南向き60m2のマンションを想定して、東京都府中市の過去8年間のアメダス気象データに基づき、8月の平均的な気象条件を設定してシミュレーション。

妻は大学時代に化学を専攻していたので、何かを説明する時は、データや数字を用いる癖がある。私にグラフ(図1)を見せながら、「わかった?」と教師のような口調で言った。 

さらに、毎晩、私がクーラーをつけて寝るために、電気料金がどれだけ余計にかかっているかを数字で示し、有無を言わせぬところまで私を追い詰めた。「わかりました。外が28度以下の時は、クーラーはつけません」と答えると、妻はやっとリモコンを返してくれた。

その夜から、私は窓を開けて寝るようになった。しかし、何事にもぬかりない妻が、毎晩、氷枕を用意してくれるので、寝苦しさはゼロ。クーラーをつけて寝ていた頃より、かえって熟睡できる気がする。

北側の樹木で、涼風の通る家

会社では一応私も管理職だが、家では妻が上司、私がヒラという役回りである。上司は次に、家の北側に木を植えろと命令した。「木を植えるなら、日当たりの良い南側だろう?」と言うと、たちまち論破された。北側の木は太陽光を受けて上昇気流を作り、木の日陰側に下降気流を作る。それが北からの涼風となって、家の中に入ってくるというのだ。仕方がない。ケヤキの苗木を買ってきて、植えましたよ。10年後に北風の通る家を目指して。

休日の夕方、庭に水打ちをするのも私。暑い日にはホースを使って屋根にも水をまいている。気化熱で、またたく間に涼しくなるのが実感できる。このように自然のメカニズムを使って、省エネしながら快適に暮らすことを「エコアップ」というのだそうだ。

夜、クーラーを使わなくなった分、妻は私の小遣いをちょっと増やしてくれた。これもエコアップ効果といえば、効果である。

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