ブータンでは、プラスチック使用禁止令を打ち出している。これは、プラスチック製品の、環境に及ぼす影響に対する懸念からだが、近年増えているトレッキングツアーへの対策でもある。山の中の焚き火禁止もその対策のひとつだ。
ブータンは観光化がまださほど進んでないので今から対策をとっても遅くはない。しかしすでに深刻なゴミ問題に悩まされているのは同じヒマラヤを北にいただくネパールである。各国の登山隊が捨てていく酸素ボンベや、トレッキング客たちが出すゴミは長年そのまま放置されていた。しかし、そのヒマラヤに登る登山家たちからも、富士山はゴミの山と言われている。
世界最年少で7大陸の最高峰登山を達成した野口健さん(32歳)は、ヒマラヤに登ったとき、他国の登山隊から「ヒマラヤを富士山のようにするつもりか!」と言われた。その苦い経験から、彼は、ゴミ収集を呼びかけながら、精力的に海外、国内の山に登っている。
富士山が世界遺産への登録を拒否された理由に、ゴミと屎尿の問題があったことは有名な話だ。実際、富士登山をした人は分かるだろうが、山頂直下には雪と見間違うほどトイレットペーパーが散乱している。
野口さんは、6年間ゴミ清掃登山を続けてきて、登山隊だけではなく地域の「環境教育」の重要性に気づきはじめている。今年のマナスルゴミ清掃登山は、ネパールの山村の人々に「ゴミ」という概念を伝えることができただけでも大きな成果かもしれない。
日本の山は、登山道やトイレが整備され、ゴミに対する登山者のマナーが良くなった。登山者の環境意識は高まっている。むしろ、観光地の道路際のマイカーからのポイ捨てゴミや、渓流での釣り人のゴミが目立つ。
「日本人はゴミから生まれた、ゴミの民族か」と亡くなった作家の開高健さんが書いている。ゴミ問題は制度やシステムだけでは解けない一人一人のライフスタイル問題だ。
野口さんは、富士山を世界遺産とするために活動中だ。再び富士山が清浄な霊峰となる日は近いのだろうか。
野口さんのホームページ:http://www.noguchi-ken.com/message/index.html
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